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トップ>ペット法務/9.ペットの虐待・遺棄・殺傷の罪


    (9A)ペットの虐待事件判例


動愛法§2には「動物が命あるものであることに鑑み、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」と定められています。また、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(環境省告示第 37 号)によりペットの飼い主には次の一般原則が適用されます。「飼い主は、命あるものであるペットの適正な飼養&保管に責任を負う者として、動物の生態・習性・生理を理解し、愛情をもってペットを取り扱うと共に、ペットを終生飼養する責務を果たすように努めること」「飼い主は、人と動物との共生に配慮しつつ、人の生命、身体又は財産を侵害し、及び生活環境を害することがないよう責任をもって飼養&保管に努めること」

また、「愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律」により飼料の安全性の確保が製造業者/輸入業者/販売業者 に義務付けられており、農水省・環境省の定める飼料の製造方法/表示等関する基準に合わない有害物質を含む飼料・病原微生物により汚染された飼料の製造/輸入/販売は禁止されています。監視を委託された独立行政法人農林水産安全技術センターによる立入検査等もあり、基準に満たない飼料の廃棄命令に違反した法人には1億円以下の罰金刑、有害物質を含む飼料の製造等の禁止に違反した個人には、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金も規定して、法律上はペットの食の安全が図られています。

ペットと人間は共生する関係にあるにもかかわらず、人間が一方的にペットの生殺与奪権を有しているのが現実です。一方でペットは落ち込んでいる人間を慰めてくれたり、子供の遊び相手になってくれたりして、人間に尽くしてくれる生きものであるのに、人間が勝手にいじめるとか、人間の都合で一方的に捨てる等の行為は動愛法で刑法犯として処罰されます。みだりに食事や水をやらずに衰弱させる等の虐待又は山中に放置する等によりペットの生命・身体に危険が生じるような遺棄に対しては100万円以下の罰金(動愛法§44UV)が科せられます。又、みだりにペットを殺傷した者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(動愛法§44T)に処することになっています。



(9A)ペットの虐待事件判例

(9-1) 【東京地判平28.12.14】 121万円(他に罰金20万円)
子供のいない夫婦が飼っていた猫と隣の犬(Welsh Corgi)が喧嘩したので、犬の飼主の男が自分の犬をかばってスコップを使い手加減なく猫を何度もたたきつけた処、その猫が大けがをして4日後に死亡した。猫が虐待されているのを発見した飼主妻がやめさせようとして通院2週間の障害も負った事件。         →全文を見る


(9-2)【 広島地判平24.11.22】 動物愛護法違反 猫虐待に罰金60万円
広島市南区の自宅マンションで、飼猫1匹の頭部を手で数回殴り、けがを負わせたとして、動物愛護法違反の罪に問われた広島市南区の無職の男(37)に対する判決宣告があり、被告人は、起訴事実や他の猫への虐待を認め、検察官は懲役刑を求めた →全文を見る

(9-3) 【尼崎簡判平20.7.31】 動物愛護法違反 猫踏み殺し罰金20万円
尼崎市内の浄水場内において、警備員の男が飼主のいない子猫の頭部を足で踏みつけてみだりに殺した事件         →全文を見る

(9-4) 【伊那簡判平15.3.13】 罰金15万円
長野県の乗馬牧場経営者が、馬2頭を著しく不衛生な環境で飼育し、充分な給餌をせず、結果的に栄養障害状態に陥らせる虐待を行ったとして、動物愛護法違反により、検察より罰金30万円を求刑された事案         →全文を見る

(9-5) 【横浜地判平24.5.23】 詐欺罪等で猫虐待殺傷に懲役3年
猫の保護活動をしていた女性3人から、殺傷目的を隠して猫5匹を譲り受け、3匹について、10mの高さの階段上から投げ落としたり頭を足で踏み付けたり壁にたたき付けたりして殺したほか、2匹については顔面を床にたたきつけるなどして重傷を負わせた →全文を見る

(9-6) 【東京地判平29.512.12】 13匹の猫を虐待殺傷害した税理士に懲役1年10月
愛護動物である猫13匹を捕まえ、1年余りの間に、金属製捕獲器に閉じ込めた上,全身に熱湯を何度もかけたりして9匹を殺害し、4匹に重傷を負わせ、その犯行の様子を撮影した動画をインターネット上に投稿した税理士が、動物愛護法に違反したとして、 →全文を見る

(9-7) 【札幌地判平28.10.7】 自己の牧場で競走馬2頭を射殺 懲役1年
競走馬を飼育していた男が、自身の経営する牧場で、自身が飼育していた競走馬2頭に向けてライフル銃を発射して射殺した事件で、銃砲刀剣類所持等取締法違反、動物愛護法違反の罪に問われた。         →全文を見る

(9-8) 【福岡地判平14.10.21】 懲役6月
福岡市在住の男が、拾ってきた猫一匹の尾及び左耳をはさみで切断してみだりに傷つけた上,その頸部をひもで絞めつけ,自宅アパート付近の川に投げ捨ててみだりに殺し、その様子をインターネット上で公開して犯行がばれ、逮捕拘束された。      →全文を見る