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  (1)ペット飼育不可のマンションの場合
  (2)ペット飼育可のマンションの場合
  (4A)ペット不可マンション判例

(1)ペット飼育不可のマンションの場合
マンション管理規約又は賃貸借契約書に「ペット飼育禁止」の条項がある分譲マンションでのペット飼育は認められません。マンションのような区分所有建物においては、区分所有者(譲受人・賃借人も含む)は建物の保存に有害な行為、その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないとされ、管理規約で「ペット飼育禁止」を定めているところが多いのが現状です。
ペット飼育の自由を制限するのは憲法§13(幸福追求に対する国民の権利)違反ではないかとの議論もあり得ますが、判例では以下の理由でその合理性が認められています。

共同住宅においては、居住者による動物の飼育によってしばしば住民間の深刻な問題が発生している
動物の飼育を積極的に認める一部のマンションも存在するのであるから飼育を希望する住人には選択肢がある(その場合でも飼育方法や飼育を許される動物の定義などについて詳細な規定を設けている
共同住宅で他の居住者に全く迷惑がかからないよう動物を飼育するためには、防音設備・防臭設備を整えるなど住宅の構造自体を相当程度整備した上で、動物を飼おうとする者の適性を事前にチェックしたり、飼い方などに関する詳細な規則を定める必要がある
従い、全面的に動物の飼育を禁止した管理規約は相当の必要性及び合理性を有し、規約により動物の飼育を禁止される者の受ける損害は、社会生活上通常受忍すべき限度を超えたものとはいえない

マンションは共同住宅ですから,一戸建てに比べると他の居住者への配慮が必要です。管理規約に反して無断でペットと同居すると、共同生活上の秩序を乱す行為として、賃貸マンションであれば契約の解除事由にもなり得ます。ペットの飼育が見つかった場合は、管理会社又は賃貸人(家主)から書面や口頭で飼育を止めるよう警告が発せられ、それでも止めない場合、分譲マンションにおいては飼育を中止する(ペットを手放す)か,退去する(ペットを連れて出て行く)か選択することになります。
警告を受けた時から合理的期間内に退去せずペットを飼い続けていると、管理組合は飼い主に対して,ペットの飼育差止請求や損害賠償請求をすることができます。ペット飼育禁止の管理規約のあるマンションにおいて無断でペットを飼っている住民が何人か結束したところで、「ペット飼育可」とすべく管理規約を変更するには、マンションの区分所有者の4分3以上の賛成が必要ですから、そのような状況での管理規約の変更はまず不可能でしょう。

体毛・皮屑(皮膚のクズ)が原因と言われているペットアレルギーの人は、管理規約でペット禁止を謳っているマンションをわざわざ探して入居しますので、ペット飼育禁止とする合理的理由があるわけです。ペットアレルギーの極端な例では、猫のいた場所に行くだけで顔が腫れるという人もいるくらいです。

賃貸マンションを退去する場合、契約時の原状回復に要する費用については、社会通念上、適切な用法に従った使用をして発生したキズ・汚れについては賃貸人(家主)の負担とされますが、人間が日常生活を行う上で最低限発生する程度のキズ・汚れの程度をはるかに超える分については賃借人の負担とすることになっており、その上に違法飼育期間中にペットの鳴き声・悪臭・不衛生等により、空室が増えたことによる賃貸人の財産的不利益なども損害賠償として請求されることもありますので注意が必要です。




(2)ペット飼育可のマンションの場合
分譲マンションの管理規約でペット飼育禁止とされない場合、及び賃貸マンションにおいて、賃貸借契約書に「ペット飼育禁止」の条項がない場合は、当然ペット飼育は自由ですが管理規約に規定されているペット飼育条件は守らなければなりません。通常、飼育できる動物の種類及び数等が限定されている場合が多いので、事前にマンション管理規約に規定されているペット飼育条件を調べておく必要があります。多くのマンションでは、管理組合への届け出又は登録の義務付け、共用部分の利用方法及び糞尿処理等に関する飼育者の義務、飼育に起因する被害等に対する責任、違反者に対する措置などが定められています。

いくらペット飼育可のマンションでも、住民全員がペット好きとも限りませんし、たとえペットが好きな人にとってもあまりにもひどい犬の鳴き声・匂いは不快なものです。衛生環境・騒音問題などに注意しつつ、周辺住民から苦情が出ないよう、しつけ・運動・シャンプーなど犬の面倒をよくみて、犬にストレスを与えないように気をつけることにより平穏な近所付き合いができるということを理解しましょう。周辺住民から苦情が出るほどの状況であれば改善しなければなりません。

賃貸マンションにおいて、飼い主(賃借人)によるペットの飼育状況があまりにひどく、周辺住民から苦情が多い場合、「改善要望書」が届くこともあり、更に進んで「マナー違反警告書」が届いても改善されないという場合は、用法違反として賃貸借契約が解除されることもあります。判例では、賃貸人・賃借人「相互の信頼関係を破壊するに至る程度の不誠意がある」(信頼関係破壊理論)と認められる場合は賃貸借契約の中途解除を認める、とされています。又、賃貸マンションを退去する場合、賃借人には目的物保管義務がありますから、壁や床にペットによる引っかきキズ・汚れ・匂いなどが残っていると賃借人が「通常生活する上で当然発生するキズ・汚れ・匂い」とは言えませんので、原状回復に要する費用は賃借人負担になります。通常、修理代として敷金から差し引かれますが、それ以上に出費がかさむ場合は当然別途請求されます。

分譲住宅においても、飼い主は、「動物が人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」(動愛法
§7)とされており、「動物の飼養/保管に伴う飼料の残さ/動物の糞尿その他の汚物の不適切な処理/放置により発生する臭気」(動愛法施行規則§12A)により周辺の生活環境が損なわれている事態においては、「都道府県知事がその事態を除去するために必要な措置をとるべきことを勧告・命令する」(動愛法§25)ことができ、それでも命令に違反する者には20万円以下の罰金(動愛法§47B)が科せられます。

賃貸借契約でペット飼育可と記載されているにもかかわらず、その賃貸マンションにはペット飼育禁止の管理規約があったという場合は、賃借人とペットは別のところに引っ越しする必要がありますが、契約の解除・住居の転居にかかった不測の費用は、債務不履行責任として賃貸人(家主)が負担せざるを得ません。


(4A)ペット不可マンション判例

(4-1) 【大分地判平17.5.30】 101万円
分譲住宅販売会社がマンション販売に際し、ペットを嫌う客に「ペット禁止住宅」であると説明して売り、ペットを飼育している客には「ペット飼育可」であると説明して売った事件で、結局この業者は、両方の入居者から損害賠償請求された事案。正確には、ペット飼育については、入居者の代表で構成するマンション管理組合で決定することになっていたが、業者が説明義務を果たさなかったことが不法行為に当たるとされ、非飼育者である入居者と、飼育者である入居者の双方に合計101万円の損害賠償命令を言い渡された。他人のペットによって生活の平穏を害された入居者も、ペットを飼えなくなって精神的苦痛を訴える入居者も、もとはと言えば、マンション販売業者の説明義務違反から、共に業者の信頼を失った事案である。


(4-2) 【東京地判平13.10.11】 30万円+禁止命令
マンションの管理規定で「小鳥及び魚類以外の動物の飼育禁止」と定められているにもかかわらず、室内で小型犬を飼い続けていた区分所有者を、マンション管理組合とその代表者が訴えた事案。被告は、このマンションを購入した際、前主も犬や猫を飼っていたと仲介業者から説明きいたとか、「犬を飼いたいというのは子供たちで私ではないからどうしようもない」などと居直り、立ち退きを要求されると「いずれ犬の飼育ができる住宅に買い替えて引っ越すが、それがいつになるかわからない」と言い逃れをしてきた。動物飼育禁止規定のある住宅に引っ越してきてから、1年以上にわたり、口頭・書面にて管理組合から注意されても無視し続けたため、ついに管理組合が100万円の損害賠償を求める裁判に訴えたところ、東京地裁は30万円の損害賠償と、住宅内における犬の飼育禁止を命じた。


(4-3) 【横浜地判平3.12.12】禁止命令
七階建て集合住宅(分譲マンション)の一室を購入した男性(区分所有者)が、契約した時は旧管理規約(動物飼育禁止の文言無し)を不動産販売業者に見せられ、ペットの犬(English Beagle)を室内で飼育していたところ、マンション管理組合(実態は他の入居者)と問題になった。ペットの飼主は、マンションを購入してから引っ越ししてくるまでに、改正された新管理規約を受け取っていたが、そこには「動物の飼育はトラブルの最大の原因ですので一応禁止されています」と記載されていた。ペットの飼主は、契約時点でペット飼育は禁止されておらず、新管理規約でも「動物は全面的飼育禁止」の趣旨でないと居直っていたが、管理組合の説得に応じないため、管理組合は、4分の3以上の圧倒的多数で、全面的飼育禁止条項を含む最新管理規約に変更した。それでもペットの飼主は受け入れず、マンション管理組合理事長が原告となり、被告飼主に対して犬の飼育禁止命令を出すよう訴えた。

裁判所は、同集合住宅でペットを飼育している区分所有者が被告のみであること、被告以外の大多数の区分所有者がペットの飼育に反対していることから、当該住宅は防音設備・防臭設備を備えた住宅の構造になっていないため、被告の主張する「他の居住者に全く不利益を与えていない」とは認められないとして、原告請求通り、飼育禁止を命じた。(控訴審 東京高判平6.8.4)