大阪・岸和田のアミ・インターナショナル 行政書士事務所                                  クーリング・オフ、国際法務、ペット法務はお任せ下さい。
  
  
(6A)犬による騒音・フン害等の被害判例


(6A-1) 【東京地判平7.2.1】  276万円
東京都内で賃貸住宅を所有している親子3人が、近隣の居住する親子3人の飼っている犬の吠え声で精神的苦痛の損害をうけたのみならず、賃借人(米国人法律事務所経営者)も途中で契約解除して退去してしまったため、精神的苦痛と賃借人途中契約解除による得べかりし賃料分の損害を被ったとして、飼主親子を訴えた。この飼主親子は大型犬Pyrenean Mountain dog(体重40-50kg)2匹、紀州犬1匹、それに柴犬1匹を飼っていたが、閑静な住宅地において、夜間、早朝を問わず大型犬が異常な吠え方をして、保健所、警察署に苦情を申し立てても事態が改善されなかった。住人親子は犬の吠え声でノイローゼになったばかりか、賃借人も受忍限度を超える犬の吠え声で住めないと退去してしまった。精神的苦痛に対する慰謝料及び賃貸契約(賃料月額160万円)中途解約による賃料損失補てんとして、裁判所は3人の飼主の不法行為責任を認め、総額276万円の支払いを命じた。



(6A-2) 【横浜地判昭61.2.18】  60万円
よく吠えるシェパード(Shepherd)、甲高い声で吠え続けるマルチーズ(Maltese)をそれぞれ1-2頭ずつ飼育していた隣家の騒音で、平穏な生活が乱され、精神衰弱状態(物音に過敏になり、焦燥感・不眠・全身倦怠感・食欲不振の状態)になったピアニスト夫妻が精神的苦痛を受けたとして、飼主夫婦を訴えた。第一審・鎌倉簡裁判昭57.10.25は、飼主夫婦(夫はミキサー車運転手、妻は茶店の店番)に対し慰謝料60万円の支払いを命じたところ、納得いかない飼主夫婦が控訴したが、棄却された。飼主夫婦は、職業柄、昼間ほとんど不在がちであり、犬を鎖につないだまま、7−8mの金属製係留ロープを張って運動させていたというが、裁判官は、犬の運動は人間が一緒に行って初めて訓練になるのであり、係留ロープを用いて運動させたといっても、犬にとって好ましいことではなく、動物の保管義務に違反する行為であると認定した。飼主夫婦は数十年前から自分の家では犬、鶏などを飼育していて、ピアニスト夫妻が、その後、この事情を知って隣に移転してきたのであるから、いわゆる「危険への接近の法理」により精神衰弱は自己責任だと主張したが、裁判官は、騒音の程度は受忍限度をはるかに超えており、危険への接近の法理による免責は認められないと断罪した。



(6A-3) 【浦和地判平7.6.30】  30万円
JR南浦和駅から300mほどの住宅地(近隣は商業地域)で、闘犬(American Pit Bull Terrier、中型犬)5頭を飼育していた男が、隣地の住宅に居住する女性(63才、認知症の夫も同居)に、吠え声の騒音被害を訴えられた裁判で、毎日朝夕1-2時間吠え続けるのは受忍限度を超える違法行為であるとして、精神的苦痛に対する慰謝料30万円の支払いを命じられた。闘犬の飼主は、苦情を言われた腹いせに、隣地との境界21cmのところに、防音壁の名目で高さ5.4mの工作物を22mにわたって設置し、女性宅の日照・通風等を阻害したが、裁判所は、この工作物は挑発的・不適切なもので、加害目的が明らか、防音効果もなく、嫌がらせであると認定し、飼主に2mを超える部分の工作物の撤去を命じた。闘犬は訓練の後興奮して一斉に吠え続けるので、住宅地で飼育すべきではない。



(6A-4) 【京都地判平3.1.24】  20万円
クリーニング店を経営する夫婦の隣で、German Shepherd犬(体重30-40kg)を飼育している女性が、犬の吠え声による騒音と糞などによる悪臭の被害を訴えられ、裁判所から、環境改善のために努力を怠ったとして、犬の飼育上の違法性が認定された。騒音・悪臭により、クリーニング店の夫婦に対し、慰謝料として20万円を支払うよう命じられた。夫婦は先に裁判所に仮処分の申請もしたので、飼主は、裁判が提起された時点では、すでに犬を他人に譲渡していた。



(6B)野良猫・ハト等の被害判例


(6B-1) 【神戸地判平15.6.11】  416万円
10匹ほどの野良猫に毎日給餌していた夫婦二組の住宅の近くで、居酒屋を経営していた親子が、野良猫の糞尿の悪臭被害を訴えたところ、この夫婦らは逆切れして、室内犬を外に出して吠え続けさせたり(70mH)、大音量のラジカセで音楽を流すなどの嫌がらせを始めた。被害者は慰謝料として200万円の損害賠償請求のため裁判所に調停を申し立てたが、夫婦らは、今度は親子の悪口を言いふらし、名誉毀損でも訴えられた。裁判官は、親子の蒙った被害は受忍限度を超えると、夫婦らの違法性が認められ、夫婦4人に合計416万円の損害賠償が命じられた。近隣住民に被害を与えることを認識しながら野良猫に給餌することが違法であり、犬を吠え続けさせたり大音量の音楽を流したりするのは、悪意から出た行為であり、不法行為責任を負うと認定された。更に、この夫婦らは、居酒屋の営業妨害も積極的にしており、慰謝料を含めすべての損害賠償責任は、二組の夫婦の共同不法行為とされた(一方に支払い能力がなければ他方が全額支払わなければならない)。



(6B-2) 【大阪地判平22.3.12】  216万円
近所の女性住民が毎日、自宅前でハトの餌やりを続けたため、大量のフンで自宅を汚されたとして、被害者の女性(68才)が、餌やりの差止めと345万円の損害賠償を請求した。裁判官は、女性が餌を与えないよう再三求めたのに、執拗に給餌行為を繰り返したとして、女性住民に対し、女性宅の周囲30m以内での給餌行為を禁止し、女性の精神的苦痛に対する慰謝料50万円,ベランダなどの修理費用約146万円、合計216万円の支払いを命じた。



(6B-3) 【東京地判平22.5.13】  204万円
東京都三鷹市の庭付き2階建てのテラスハウス型集合住宅で、プロ棋士元名人加藤一二三(判決時70才)が、最大18匹もの野良猫に継続的にエサを与え、糞尿等による悪臭などの被害を被った同住宅の住民17名が、エサやりの中止と645万円の損害賠償を請求して訴訟を起こした。野良猫とはいえ、猫に段ボール箱を与えるなど飼育の域まで達し,汚れや異臭などさまざまな被害を与えており,住宅管理規約に違反することは明らかであるとして,住宅敷地内での餌やり中止と計204万円の賠償が命じられた。住民の洗濯物に異臭が付いたり、庭の芝が枯れたりする被害が発生、管理組合側は餌やりの中止を求めたが、プロ棋士元名人は受け入れなかった。この住宅の管理組合規定には、動物飼育禁止条項、迷惑行為禁止条項があり、野良猫への屋外給餌は管理組合規定違反であるとともに、被害の状況は受忍限度を超える違法なものであると認められた。加藤は、野良猫にも生きる権利があり、給餌・給水を止めることによる虐待は、動物愛護法§44Uに反すると主張したが、野良猫に対するエサやりを中止しても同条項は適用されないと判示された。



(6B-4) 【東京地判平7.11.21】  200万円
東京都内のマンションの一室203号室の居住者が、数年間にわたり、ベランダ、室内等において野鳩の餌付けを継続し、常時50羽を超え、時には100羽以上の野鳩が飛来するに及び、管理組合理事長より、建物区分所有法60条1項に基づき、退去を求められた。この部屋の所有者は独身居住者の母親、管理組合は何度も警告文を渡して野鳩の餌付けを中止するよう注意したが、親子ともども抗議警告にも耳を貸さず、ついにはマンションの譲渡価格も低下するに及んだ。203号居住者はベランダの窓を開放して、室内でも野鳩を飼うものだから、おびただしい数の鳩が糞や羽毛を上下左右の他のベランダや付近の道路、家屋、植木等に所構わずにまき散らし、洗濯物を戸外に干すこともできず、屋根や雨樋に糞がつまり悪臭を放ち、羽毛ふとんにダニが発生するなど、マンション及びその付近の平穏かつ清潔な環境が損なわれる状況になった。裁判官は、親子間の203号室使用貸借契約の解除、203号室居住者の専有部分明渡、及び不法行為に基づく200万円の損害賠償(建物外壁の鳩糞汚損洗浄工事費用、弁護士費用等)の支払いを命じる判決を下した。



(6B-5) 【神戸地和解平15.9.18】  (転居に同意)
マンション住人男性が約20匹の猫を放し飼いにしていて、その糞尿等で家庭菜園が台無しになったり、猫対策で庭をコンクリート敷きにするなどの出費を余儀なくされた近所の住人達が、猫の飼主とマンションの管理会社に対して、1,250万円の損害賠償を請求した。管理会社は「餌を与えるな」と張り紙をしただけでそれ以上の対策をとらなかった。飼主男性は「餌を与えているだけで飼っているわけではない」と反論するも、裁判官に和解を勧められ、飼主の費用で、原告宅に猫が侵入しないよう防止柵を設置すること、平成16年3月末までに転居することの2点に合意し、和解が成立した。



(6C)ペット以外の騒音等の被害判例


(6C-1) 【東京地判平24.3.15】  126万円
マンションの一階に居住する夫婦が、真上の部屋の子供の走り回ったり飛び跳ねたりする騒音に悩まされ、頭痛、ストレス、体調不良になったため、二階の部屋の住人に、所有権乃至人格権に基づく騒音妨害排除請求及び精神的苦痛に対する慰謝料請求を行った。二階には当時大変元気な幼稚園児がいて、家中を飛び跳ねるなどしていたため、夫婦は専門の業者に騒音測定を依頼し、約1か月に渡って、天井から伝わる騒音を、騒音計microphone及びこれに接続したlevel recorderに記録し、それを裁判所に証拠として提出した。それによれば、二階の子どもが飛び跳ねる音は、一階居間では45-66dB(デシベル)に達し、しかも、時間も夜遅くに及び、到底我慢できる程度でない(受忍限度を超える)と判断された。判決によれば、昼間53dB、夜間40dBを超える騒音は受忍限度を超え不法行為を構成すると認められ、これを超える騒音を発生させてはならないと命令された。そして、それまでの騒音による夫婦の精神的苦痛に対する慰謝料として二人で60万円、外部に委託した騒音測定費用64万円、治療費等2万円、合計126万円の損害賠償を命じた。うちの子どもが騒いで何が悪い、騒音と下の夫婦の病に因果関係はないという反論は、裁判官には通じなかった。(うちの犬が吠えて何が悪い、犬とは吠えるものだ、と居直るのと同じ論理)



(6C-2) 【東京地判平17.12.14】  100万円
地上10階、地下2階建てビルの1階の部屋(68u)を借りてそば料理店を経営する者が、地下1階の部屋(105u)にあるロックバンドのライブハウスから発生する騒音・振動・低周波音等の被害により、料理店の売り上げが減少し閉店に追い込まれたなどとして、ライブハウス経営者とそこに部屋を貸していた家主(賃貸人)に損害賠償を請求した。「東京都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」§136に定める騒音振動基準を参考数値として検討結果、ライブハウスの発生させていた騒音・振動等は、受忍限度を超える違法なものと判断、ライブハウス経営者(賃借人)及び賃貸人双方の共同不法行為として100万円の損害賠償を命じた。家主にも騒音・振動等の発生を放置したことが不法行為と認められた。都環境条例(別表13、第二種区域)によれば、日中の騒音は45-50dB以下、夜間の騒音は45dB以下と定められており、この基準を超える騒音を発生させてはならないとある。実際に新宿区環境保全課が計測したところ、夕刻で騒音は最大65dB、振動は最大70-72dB(建設工事現場レベルの振動)あったことが確認された。下の階のライブ演奏で、テーブル上のグラスや皿がガチャガチャと音を立てるなどして、客も従業員も不快、気分が悪いと感じるようになり、店は閉店に追い込まれた。ライブハウス側は、防音工事に334万円もの費用もかけて対応していると責任を否定するも、騒音・振動の事実は変わらず、裁判では、賃借人がこのような騒音を発生させて他の入居者に迷惑をかけている状態を放置していた家主の責任もあるとし、ライブハウス・家主双方に賠償命令を下した。



(6C-3) 【京都高和解平23.2.14】  100万円
創業140数年の京都の老舗製菓会社(石田老舗)の工場の窓や排気ダクトから、周囲一帯に漂う甘い匂いや騒音で苦痛を受けたとして、周辺住民らが慰謝料など計約2,100万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決で、「あめやカステラなど菓子特有の甘いにおいを不快と感じるかは個人差があるが、長期間にわたって継続的な場合、住民の不快感はかなりのものと認められ、受忍限度を超えていた」として、一審(京都地判平22.9.15)は、同社に計約280万円の支払いを命じた。石田老舗は、市から事務所兼倉庫の用途で建築確認を受けた建物を使い、2005年2月に菓子製造を開始。2006年9月、市から建物の使用を制限する是正命令を受けたが、その後も違法操業を続けた。干している洗濯物に匂いがつくとか、頭痛などの健康被害を訴える住民もいたりして、住民側は、市が違法操業を許容し続けたと市の責任も追及したが、市は「違反状態を是正するため行政指導を継続的に行っていた」と認定され、市への訴えは棄却された。一審の住民勝訴判決に対し、控訴していた石田老舗に和解を勧めていた京都高裁において、会社側が解決金100万円を支払うことで和解が成立。石田老舗側は「公害とは考えていないが裁判所の勧めに従い、甘んじて受け入れた」と発表、住民側も納得して控訴審を終了した。結局、石田老舗工場は、2008年6月、京都市内の別の場所に移転し、匂いの問題は解決していた。



(6C-4) 【大阪地判平22.8.24】  100万円
大阪府高槻市の男性(当時72才)が、隣家の女性(当時63才)による布団たたきの騒音によって精神的苦痛を受けたとして、慰謝料を請求した。裁判で、男性の「平穏な生活を侵害する」ことが認定され、女性に100万円の賠償が命じられた。この男性は2000年から現住所に居住、約1m離れた隣家から響く布団たたきの音に苦しみ、自治会の仲裁でも収まらなかったので、大阪地裁に仮処分を申し立て、2005年に「1日3回未満、1回10分未満」とする和解が成立していた。しかし、その後も女性がベランダではなく、あえて男性宅に近い窓側で布団たたきをしていたことが近所の防犯カメラ映像などからも確認され、回数・時間も和解条件に違反していたと認定された。2008年以降は1日3回以上の布団たたきがほぼ毎日あり、男性が抗議すると「これくらいの音は辛抱しないといけない」などと反論していた。(ペットの騒音に限らず、人間の発する騒音についても損害賠償を命じられることがあるので、特に隣人に対する配慮が欠ける行為は慎むべきである。)



(6C-5) 【東京地判平21.10.29】  60万円
木造住宅の二階に住む住人が、一階に住む大学生(当時18-19才)とその友人が深夜に発する受忍限度を超える騒音によって睡眠障害、適応障害等の病気になり、挙句の果てには転居せざるを得なくなったため、この大学生と、九州に住む彼の母親に対して、損害賠償を請求した。大学生は、深夜、数名の友人と大声で会話したり、歌を歌ったり、大音量のテレビを付けたりと、大騒ぎをすることがあり、その音は一階の大学生の部屋で88-99dBであったから、被害者の居住する二階の部屋で聞こえる騒音レベルと一致しないまでも、木造アパートであることから、東京都が第二種区域に規定する騒音基準(夜間45dB以下)を大幅に上まっていた。二階の住人が注意しても状況は改善せず、大学生が「今後は10時以降は友達を帰らせ、決して迷惑をかけません。」という誓約書を持ってきた後も騒ぎは繰り返されたので、二階の住人は転居を余儀なくされ、精神的苦痛に対する慰謝料、転居費用などを払えと訴えた。九州の母親には監督責任があるとも主張したが、そのうち大学生は成人になり、母親の責任は認められなかった。判決では、慰謝料30万円、転居費用25万円、弁護士費用5万円、合計60万円を大学生に支払えと命じた。